ザルティア処方とは
ザルティアは日本新薬より販売されている前立腺肥大症の治療薬です。
本来、前立腺肥大症のためのお薬ですが、
ザルティアの主成分であるタダラフィルは「ED治療薬シアリス」と全く同じ成分のため、
ED(勃起障害)に対してもシアリスと同様の効果を発揮します。
ザルティアは本来、一日一錠、少ない用量を毎日服用するお薬のため
2.5mg錠と5mg錠という低用量の錠剤が製造販売されていますが、
当院ではそのうちザルティア5mg錠のみを取り扱っています。
ザルティア5mg錠とシアリス5mg錠は同一成分、
同一用量のお薬ですので、薬効は全く同じです。
ザルティアとシアリスの唯一の違いは、
ザルティアが前立腺肥大症の治療薬として認可を受けているのに対して、
シアリスはED治療薬として厚生労働省の認可を受けているという点です。
同じ薬効のお薬ですが制度上の違いから、
ED治療に使用した際の扱いが異なります。
具体的にはザルティアをED治療に使用した場合には適応外使用として扱われ、
「医薬品副作用被害救済制度」の対象外となります。
ザルティアでED治療をご検討の方は十分ご注意ください。
当院のザルティア処方について
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ザルティアとは?
ザルティアの一般名(主成分の名前)はタダラフィルです。アメリカの製薬企業イーライ・リリーが開発・製造を行い、日本新薬が2014年4月より前立腺肥大症の治療薬として国内で販売しています。シアリスと全く同じ成分で2.5mg錠と5mg錠が厚生労働省の認可を受けています。ザルティアは保険診療の薬価(薬価基準)に収載されています。これは保険診療を行っている泌尿器科で検査や診察の結果、前立腺肥大症と診断され、担当医師が必要と判断した場合は健康保険を使って1~3割負担でザルティアを処方してもらえるということです。ザルティアの処方をご希望で年齢が50歳以上、「一晩にトイレに何度も起きる」、「尿の勢いが弱く力まないと出せない」、「排尿後に多量の残尿がたれる」といった症状がある場合は前立腺肥大症の可能性がありますので、保険診療を行っている医療機関(泌尿器科)を受診されることをお勧めします。
※当院では保険診療を行っておりません。自由診療というかたちでザルティアを処方しています。
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前立腺肥大症とは?
膀胱の直下にある前立腺が肥大し、尿道をふさいでしまうことによって排尿障害を起こす病気です。日本人男性の50歳で30%、60歳で60%、70歳で80%、80歳では90%に見られると言われています。
残尿感やトイレが近くなったり、尿の勢いが弱くなったりといった症状が出ます。EDの原因となることも知られています。
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ザルティアの効果
ザルティアは本来、前立腺肥大症の治療薬ですが、主成分タダラフィルはED治療薬シアリスの主成分と全く同じものです。ザルティアを服用すると前立腺肥大症の不快な症状が緩和されると同時に勃起不全(ED)に対しても治療効果を発揮します。ED治療効果に関しては性行為前にザルティア5mg錠を単回服用した場合はシアリス5mg錠を服用したのと同様のED治療効果が得られます。また、ザルティアを一日一錠連日服用した場合は、シアリス20mg錠を性行為前に服用したのに匹敵するED治療効果が得られたと報告されています。(4~5日の連日服用後)
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ザルティアの特徴
ザルティアは本来、前立腺肥大症の治療薬のため、ED治療効果はあくまで副次的なものですが、ED治療効果に焦点をあてた場合、以下のような特徴があります。
ザルティア5mg錠は内服約60分後から十分なED治療効果が出るうえ、おおむね16時間の長時間効果が特徴です。また、食事や飲酒の影響を受けにくいという特徴があります。また、ザルティアには血管の健康全般を促進する効果もあり、注目も集めています。性交渉に関係なく1日1回の継続的な服用で血管機能の向上が図れるという報告も海外ではあり、血管の老化防止効果も期待されています。
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ザルティアの副作用
ザルティアの服用により11%の方に副作用が認められました(日本を含むアジアで実施された臨床試験データより)。 主な副作用は、消化不良1.7%、頭痛1.3%、CK値上昇0.9%、筋肉痛0.9%、ほてり0.9%でした。そのほかの副作用では紅潮、目の充血や鼻づまり(鼻の充血)、羞明(物が青く見えるなど)、動悸、めまいなどが挙げられます。いずれの副作用も一時的なものであり、お薬の効果がなくなるとともに、ほとんどの副作用も軽減、消失します。シアリス10mg錠や20mg錠を性行為前に単回服用するのに比べて副作用の発現頻度が少ないことは特筆すべき点です。(シアリスはおおよそ30%の副作用発現率)
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ザルティアの作用機序(メカニズム)
ザルティア(シアリス)は他のED治療薬と同様に一酸化窒素(Nitric Oxide: NO)の量を増やします。NOの増加は陰茎の血流増加をもたらしED治療に効果を発揮すると同時に、前立腺の筋肉を弛緩させて尿道への圧力を減らして尿の通りを良くします。
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ザルティアの適正使用について
ザルティアは本来、前立腺肥大症の治療薬です。厚生労働省も前立腺肥大症の治療薬としてのみ認可しています。ただ、ザルティアはED治療薬シアリスと同成分のためEDに対しても治療効果を発揮します。当院では本来、前立腺肥大症に対して使用するはずのザルティアをED治療に使用しています。
厚生労働省が認める本来の目的とは異なる目的で医薬品を使用することを医薬品の適応外使用(または適応外処方)といいます。医薬品を適応外使用した場合、独立行政法人医薬品医療機器総合機構が提供する医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性があります。万が一、重篤な副作用があらわれた場合でも副作用の治療費などを補償してもらえず、自己責任にて対応していただくこととなります。
上記の事情を十分ご理解いただいたうえで、当院でザルティアの処方をご希望の患者様には「適応外使用に関する承諾書」に署名いただいてから院内処方いたします。
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ザルティアを処方できない方
2021年3月18日更新
1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2 硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル
等)を投与中の患者
3 可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤(リオシグアト)を投与中の患者
4 次に掲げる心血管系障害を有する患者[これらの患者は臨床試験では除外されている。]
4.1 不安定狭心症のある患者
4.2 心不全(NYHA分類Ⅲ度以上)のある患者
4.3 コ ン ト ロール 不 良 の 不 整 脈、 低 血 圧(血 圧<90/50mmHg) 又はコントロール不良の高血圧(安 静時血圧>170/100mmHg) のある患者
4.4 心筋梗塞の既往歴が最近3ヵ月以内にある患者
4.5 脳梗塞・脳出血の既往歴が最近6ヵ月以内にある患者
5 重度の腎障害のある患者
6 重度の肝障害のある患者
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ザルティアの保険適応について
ザルティアの認可において最も革命的な点は保険適応になったという点です。つまり保険適応の条件を満たせば前立腺肥大症治療薬として健康保険で処方してもらうことができます。ED治療効果のあるお薬を健康保険のもと1~3割負担で処方してもらえるのですから画期的です。ただし、実際にはこの保険適応条件はかなり厳しいことが知られています。まず50歳以上であること、さらに尿検査、超音波検査、直腸指診(肛門に指を挿入し、中で前立腺の硬さや大きさを触って診察する)、血液検査などで総合的に前立腺肥大症の有無や程度を評価する必要があります。加えて、最初の一年間は診察毎に14日分(つまりは14錠分)しか処方できません。つまり2週間に一回は病院を受診しなければならないのです。また、保険診療では定期受診を怠ると保険適応を認めてもらえなくなりますので、気が向いたときにもらいに行くということはできません。一方、従来のバイアグラ、レビトラ、シアリスといったED治療薬は保険適応ではなく自由診療ですので、簡単な問診のみで比較的自由に処方できます。成分がまったく同じ薬でも「保険診療を前提とした前立腺肥大症治療薬」として作られているのか、「自由診療を前提としたED治療薬」として作られているのかによって、制度上の扱いが全く異なります。自己負担額を考えた場合、保険適応なら今までに比べて格安でシアリス5mgと同じ効果のザルティア5mgを処方してもらえることになりますが、現実的にはかなり難しいと思います。このような点から当院ではザルティアの保険診療は行わず、自由診療という枠の中でザルティアの適応外処方を行っています。もし、ザルティアの処方をご希望で年齢が50歳以上、「一晩にトイレに何度も起きる」、「尿の勢いが弱く力まないと出せない」、「排尿後に多量の残尿がたれる」といった症状がある場合は前立腺肥大症の可能性がありますので、保険診療を行っている医療機関(泌尿器科)を受診されることをお勧めします。ザルティア錠を保険診療で処方してもらえるかもしれません。
※当院では保険診療を行っておりません。自由診療というかたちでザルティアを処方しています。
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シアリスとの違い
シアリスとザルティアの成分は全く一緒ですが規格が違います。ザルティアは5mg錠までの低用量しかないのに対して、シアリスは最大20mg錠まであります。シアリスは基本的には性行為の前に単回使用するものですがザルティアは他の前立腺肥大のお薬と同様、1日1回内服します。
つまり前立腺肥大症に対してザルティア5mg錠を服用することは性行為と関係なく毎日シアリス5mg錠を内服するのと一緒ということになります。
当院のコラム(シアリス錠の1日1錠 定期服用法~その1~)でも紹介していますがシアリスは2.5mg~5mgの低用量で連日内服することにより高用量単回投与に匹敵する強力なED改善効果を発揮します。さらには内服のタイミングや食事の影響なども完全に無視することができるようになります。今まではコストの面で導入しづらい方法でしたが、その点が前立腺肥大症で条件を満たした患者様の場合は保険適応によってカバーされるというのは革命的な出来事です。さらに老化防止という観点からもこのザルティアと言う薬は非常にインパクトがあります。これも以前より当院のコラム(シアリス錠の1日1錠 定期服用法~その2~)で書いてきたことですがシアリスの低用量連日投与は動脈硬化の進展を抑えたり血管年齢を若返らせたりする老化防止効果効果が期待できます。
前立腺肥大症の治療、ED治療、血管の若返りによる老化防止効果という3つのメリットを享受できる、ザルティアとはそんな可能性を秘めたお薬と言えます。
治療薬比較
薬剤名 | 食事の影響 |
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バイアグラ | 強く受ける 食後に服用すると効果↓↓。飲酒時の服用は勧められない |
シアリス | ほとんど受けない 食後や飲酒時の服用でも効果がほとんど変わらない |
レビトラ | 少し受ける 食後や飲酒時の服用でも効果があまり変わらない ただし、脂っこい食事後に服用すると効果↓ |
ステンドラ/スペドラ | 食事の影響をほとんど受けない。 食後や飲酒時の服用でも効果がほとんど変わらない |
薬剤名 | 強さ/作用までの時間(作用時間) |
---|---|
バイアグラ | ◎/40分~(3~5時間) |
シアリス | ○/40分~(16~36時間) |
レビトラ | ◎/20分~(4~10時間) |
ステンドラ/スペドラ | ◎/15分~(3~5時間) |
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