シアリスは副作用の少なさと24時間以上続く長時間作用で人気の最新ED治療薬です。
血管機能を改善したりと、ED治療以外にもさまざまな症状に効果的という報告があります。
今回はメタボリックシンドロームとの関係について書かれた研究を紹介します。
ちなみにメタボリックシンドロームは心血管病変のリスクファクターとして最注目の病気です。
その定義としては腹囲85cm以上で、かつ以下の条件のうち2つ以上を有する者です。
①血圧130/85mmHg以上
②中性脂肪150mg/dL以上またはHDLコレステロール40mg/dL未満
③血糖110mg/dL以上
2009年の「Diabetes Care」という雑誌に「Phosphodiesterase 5 inhibition improve β-cell function in metabolic syndrome」という論文が掲載されました。
訳しますと「ホスホジエステラーゼ5阻害はメタボリックシンドロームにおけるβ細胞機能を改善する」というものです。
補足しますと…
ホスホジエステラーゼ5阻害薬=ED治療薬(この研究ではシアリス)
β細胞=すい臓にあるインスリンを放出する細胞
インスリンは血糖値を下げるホルモンですので、シアリスはメタボの人の糖尿病をよくしますという内容です。
血圧を下げるACE阻害薬、ARBという薬とシアリスを併用する、もしくは単独で使用することで、メタボの人のインスリンの効きをよくしたり、インスリン放出力がよくなるかどうかを調べた研究です。
結果としては、シアリスだけが、すい臓のβ細胞機能を改善した、つまりインスリン放出力にいい影響を与えたというものでした。
しかし、不思議なことにこのβ細胞機能の改善は女性にのみ見られたようです。
男性としては残念な結果なのですが、シアリスの薬理学的有効性についてはまだまだ、研究する余地があるように思えます。
今後どのような研究結果が発表されていくのか楽しみですね。