「Penile rehabilitation」や「陰茎リハビリテーション」というキーワードをインターネットで検索していただきますと、国内外に数多くの医学文献があることがわかります。主に根治的前立腺全摘術施行後の勃起不全を予防するための研究ですが、これらの研究から長期間ペニスが勃起していないと陰茎海綿体の線維化が進み、本来の弾力(血管拡張能)を失ってしまうことがわかってきました。2001年ごろから前立腺癌手術後の勃起リハビリテーションに関する研究がなされ始め、10年以上の研究データ、数十本におよぶ医学論文の蓄積がありますので、非常に信憑性の高い分野であると言えます。
根治的前立腺全摘術を施行した後に陰茎海綿体神経が一時的に機能を失いますが、神経が機能を回復する間、長期にわたって勃起していないと、せっかく神経の機能が回復してもうまく勃起できないという事例が多く見られたことから研究がはじまりました。
神経機能が回復するまでの半年~1年程度、定期的にED治療薬を服用し、勃起を促す「陰茎リハビリテーション」を続けると、その後、ペニスのサイズや勃起機能が損なわれないと言われています。これは、EDの早期治療が非常に大事という従来からの知見を裏付けるもので、ペニスの勃起能力は長期間使っていないとうまく機能しなくなってしまうので、症状が器質化(固定化)する前に勃起リハビリをすることが重要なのです。
実際には、まだまだ研究途中ですので、確実とは言えませんが、現在までに集められた医学的な証拠を考えますと、勃起リハビリが重要であることは間違いないでしょう。
性的な機会がない状態が長く続く場合、その勃起リハビリを朝立ちが務めてくれますが、何らかの理由で朝立ち(夜間陰茎勃起現象)が損なわれた場合、ペニスの血管の器質的な変化を伴う、重症EDに移行してしまう可能性があるので注意が必要です。
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Vol.9 「最近朝立ちしない」はEDの危険信号 ~その1
Vol.21 「最近朝立ちしない」はEDの危険信号 ~その2
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